素人童貞のHIVライフ

素人童貞のままHIVに感染してしまったおっさんのHIV関連ログ

(6)転職内定先との面談、そして内定辞退(今思えばしなくても良かったのだけれど)

前回はこちらです

内定先に(病名は伏せて)状況を説明する

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もともと検査を受けた発端が、転居を伴う転職の内定を得ていたからなのですが、内定先には「定期検査でなんか見つかったんで、検査結果がハッキリしたら改めて説明します」と伝えてありました。まあ定期検査はウソになってしまうのですが、HIVの検査を受けて、とは言い出せず。

とはいえ、いつまでも引っ張るわけにもいかないので、一度現状を報告することにしました。内定先との面談では、

  • 難病である(完治できない病気である)
  • 身体障害者手帳を取得して治療することになる
  • だが、おそらく治療での定期通院以外に職務に大きな影響は出ない

という旨を伝えました。企業側の人事から、「差し支えなければ病名を教えて欲しい」とは言われましたが、雇用契約前であり、また障害が絡むセンシティブな話なので、控えさせて欲しい、と言いました。

自分としては、いわゆる「察してくれ」というやつで、言外に病気のことを伝えたつもりです。実際、「身体障害者手帳が必要だが生活にも仕事にもほぼ支障がない、かつ名前を出すのがはばかられる病気」となると、まずHIVが筆頭に上がるでしょう。

正直、内定者が後出しで重病を報告してくるわ、病名は明かさないわで、普通に考えたら内定取り消しだろうと思っていました。ですが、「それでも我が社に来て欲しい」と言っていただけました。月イチ程度の通院なら、別に障害者じゃなくても(まあ30代後半ぐらいなら)普通にあるし、職務中に病気が原因で体調が乱高下するようなわけでもないなら問題ない、と。

その日は、回答を保留して帰宅しました。

悩みに悩んだ末に、内定辞退

本当に悩みました。そこまで自分を欲してくれる会社で、しかも待遇はその時の勤め先(非正規)よりもずっと良いのです。

それでも、「知らない土地と会社で」「知らない病と」新しい生活を始める、その未知の要素が、自分には非常に重く感じられました。どちらか一方だけならいい。でも、その両方を同時に上手く消化していけるだろうか、と。

最終的に、私は内定辞退を申し出ました。

いま思えば諦める必要はなかった

いま、病気が見つかってから1年以上経ち、治療開始からも半年以上経った時点で言えることとしては、
HIVを理由に何かを諦める必要なんて何もなかった
ということです。間違いありません。

紆余曲折あって今の仕事には満足しているので、転職先で働けなかったこと自体は、今はそれほど悔やんでいません。ただ、あそこで諦める選択をした、ということ自体には、悔いが残っています。そこで内定先の期待を裏切ることになってしまったことも。

こういう状況のHIV患者が他にどれだけいるかは分かりませんが、体調にも影響するような慢性疾患と比べれば、HIVは(治療下にあれば)遥かにコントロールしやすい病気だと思います(毎食インスリン注射が必要な糖尿病なんかよりよっぽど生活への負荷は低いでしょう)。

だから、HIVを理由に仕事を諦めるようなことは、考えないでください。