素人童貞のHIVライフ

素人童貞のままHIVに感染してしまったおっさんのHIV関連ログ

(3)感染確定。「HIV感染者」になった

 即日検査で「要確認検査」の結果を受け取った際の話は(1)で書いたとおりです。そこでも書いたように、最速で結果が分かるタイミングが検査時点では分からなかったため、検査から3日後にこちらから保健所に電話をして、結果受け取りの日時を決めました。

プライバシーの観点から、こちらの電話番号は伝えていないので、保健所に電話して「3月X日に血液検査を受けた者ですが、担当のAさんをお願いします」と繋いでもらい、そこで検査時の受付番号を伝えて確認を取ります。

受け取りの日時は、検査日から10日後。つまり、保健所に電話した日からちょうど1週間後ということになりました。そこから1週間、悩み倒したのは前回の(2)の通りです。

 HIV感染告知

指定の日に、保健所へ行き、診察室へと通されます。そこで、医師から確認検査の結果を伝えられました。

「陽性です」

覚悟はしていましたが、「そうかー……」という諦念のような感情が、意識を支配していきます。

医師からは、現在は「治らない」けれど「進行させない」ことはできる病気であること、周囲へのカミングアウトは十分に考えてからにすること、などを伝えられました。

そして、ここからは「HIV感染者」として管理される対象になります。これまでは「感染者かどうか分からない」ので役所(保健所)といえども匿名を守ってくれていましたが、ここからは「全数把握」が義務付けられている伝染病の患者です。

【参考リンク】
HIV/AIDSに関する届出(発生届・病状変化報告)【医療機関の方へ】 東京都福祉保健局

保健所の医師に名前を伝えると、専門病院に外来予約をするから病院を選んでください、と言われ、県内にある拠点病院のリストを提示されました。

HIVやAIDSについては、感染状況の管理や、専門知識の共有(日進月歩で治療が進化するので)の必要性から、都道府県ごとに拠点病院(さらにそれらを統括するブロック拠点病院、中核拠点病院など)が設定されていまして、そこでの受診が望ましいとされています。
また、これらの病院は指定自立支援医療機関を兼ねていることも多いため、自立支援医療(ざっくり言うと、障害者手帳とセットで医療費の補助が受けられる制度)を受ける都合上、拠点病院以外での治療は現実的ではない、ということになります。

今回は、自宅から一番近いところにある、公立の病院を選択しました。

私にはあまり役に立たなかったカウンセラー

保健所が病院にアポイントを取ってる間に、カウンセラーとの面談がありました。おそらく、HIV陽性を告知されて、気が動転してしまうような人のことを考えてセッティングしているのだと思いますが、私の場合は正直あまり意味を感じませんでした。

立場上、医療的だったり行政的な指導は行えないからだと推察しますが、

  • HIVという病気についての医療的な知見
  • HIV患者に対する行政的な(具体的には障害者手帳の取得など)手続きの知見

などが話に出てくることは一切なく、まあ、気持ちの話ばっかりだったなと。

こちらも、決して「落ち着いている」わけではなく、特に一番最初のブログエントリに書いたように、転職内定をもらっている状態だったので、今後どんな治療が始まるのかとか、治療方針が定まるまでどれぐらいかかるのか、とか気になることはいっぱいあって、気はそぞろでした。でも、そうした具体的なことは一切話に出てこないので、まあぶっちゃけ役に立たなかったな、という感じです。

そんなこんなで面談が終わり、再び診察室に戻ると、病院の外来予約の候補日がいくつか提示されました。希望日を選び、保健所での一連の「検査」は終了となります。

最後に、HIV患者向けのパンフレットをいくつか手渡され、読んでおくように言われました。病気のことや、どんな行政的支援が受けられるか、などについて基本的な知識を確認しておくようにと。

この日は、そのまま職場に出社したのですが、まあ仕事は手に付きませんでした。やっぱり。それでも、ある種の諦めがついたのか、「一晩中ネットで情報を探して眠れなくなる」ようなことはなくなりました。だって、もうどうしようもないですから。

次回からは、「患者」になっての「治療」や「行政手続き」について書いていきます。